「日本画」の色は、どのようにして塗られているのでしょう?
日本では古くから色の粉(顔料)とそれを画面に付ける接着剤(ニカワ)を混ぜ合わせて絵具を作ってきました。これは1000年以上も前に中国大陸、朝鮮半島を経由して日本に伝わった歴史のある技法です。
日本で長く使われてきたこの絵具は、山や海でとれる様々な自然素材を原料としています。藍銅鉱(らんどうこう)という石からとれる「青」、水晶やカキの貝殻からとれる「白」、サンゴからとれる「淡いピンク」、カイガラムシという虫からとれる「えんじ」…これらの素材から色の粉を取り出し、ニカワ(膠)という動物の皮や骨を煮出したコラーゲンを使って画面に付けることで、昔の人々は彩り豊かな絵画を描きました。驚くことに、その基本的な手法は現代にいたるまで変わらず受け継がれています。まさに自然はずっと絵具の素材の宝庫だったのです。
今回で6回目を迎える「高知サマープロジェクト」では、高知の豊かな自然を手がかりに新しい絵具づくりの可能性を探ります。たとえば大月町の海でとれるウニのトゲ、越知町の横倉山でとれる薄桃色の大理石「土佐桜」…高知の海や山で採集できるこれらの素材を使うと、どのような色ができるのでしょう?高知の自然、そしてもっと身近な場所に隠れているいろいろな「色」を通して、私たちを取り巻く世界に目を向けてみる夏休み企画です。
「うにちゃんついに思春期終了」
思春期が終わってとれたトゲが絵の前に、ボロボロちらばっています。そのムラサキウニのトゲから「海胆紫色」を作り、ウニちゃんのかぶっている冠をぬっています。とげがとれてマイルドになったウニちゃん、見に来てくださいね。
また今回は100色以上の天然の色を作り紹介しています。まさに修行僧か魔女のような生活ぶりです。しかしこれがおもしろい。たぶんこれは一生研究すると思います。皆さん差し入れは、砕いたら絵の具になりそうな各県の鉱物や石や貝、変な物、大歓迎。夏休みの自由研究をいっしょに楽しみましょう。
「mineral universe~極小の宇宙」
直径10cmのシャーレの中に、鉱物や海洋生物が持つ色の魅力を閉じ込め、小さな宇宙を作り上げました。
2024年07月08日[月] – 2024年09月14日[土]
会場:高知県立美術館1階 展示室D 入場無料
主催:高知県立美術館(公益財団法人高知県文化財団) 特別協力:COSA(大月町文化教育交流拠点) 後援:高知県教育委員会、高知市教育委員会、高知新聞社・RKC高知放送