海辺の自然史研究舎の中地シュウさんと共同で企画・開催した生き物の色のアートな可能性を考えるワークショップ「生き物の絵の具で描く」を2021年9月18日(土)に大月町小才角のアトリエkにて、つきなだ地域自然史文化研究会主催で行いました。
中地さんより、「ウニで色を作ることは可能だろうか?」と、相談をうけ、あかがねミュージアム・女子美術大学の橋本弘安先生の協力を得て、色の開発を行いました。ウニから安定した色を作ることができたため、そのお披露目もかねてワークショップを行うこととしました。
中地さんより、大月町の海で行っている海洋生物の「色」に関する研究(棘皮動物のカロテノイド、八放サンゴ類の蛍光タンパク質などに関する研究)を紹介していただき、「生き物の色とはなにか」ということを生物学的視点で勉強させていただきました。色について生物学的な視点で勉強できることは、制作のヒントを多くいただくことができ、この講演だけでも大満足でした。
その後、実際に海洋生物の硬組織(チアカサンゴ、ウニの棘)や天然鉱物(孔雀石)を使った天然岩絵具を自分で粉砕し、それに膠を混ぜて作った絵の具で、少作品を描いく日本画のワークショップを参加者の皆さんに体験していただきました。美しい自然に囲まれた大月町で、普段見慣れた海の生き物から、今まで知らなかった美しい色を自分で作ることができることに、参加者のみなさんも夢中で絵の具作りをされていました。
中地さんと一緒に開発した大月町産ムラサキウニを用いた新しい天然岩絵具「海胆紫(うにむらさき)」や日本画で一般的に使われる天然岩絵具の鉱物も少しお披露目ができました。このワークショップを通して、私自身、日本画における新たな色の可能性が広がっていく手ごたえを感じました。日本画における天然岩絵具と鉱物の研究は、今後も発展させたいと考えています。